スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

太宰治 [桜桃」より

夏、家族全部三畳間に集まり、大にぎやか、大混乱の夕食をしたため、父はタオルでやたらに顔の汗を拭(ふ)き、
「めし食って大汗かくもげびた事、と柳多留(やなぎだる)にあったけれども、どうも、こんなに子供たちがうるさくては、いかにお上品なお父(とう)さんといえども、汗が流れる」
 と、ひとりぶつぶつ不平を言い出す。
 母は、一歳の次女におっぱいを含ませながら、そうして、お父さんと長女と長男のお給仕をするやら、子供たちのこぼしたものを拭くやら、拾うやら、鼻をかんでやるやら、八面六臂(はちめんろっぴ)のすさまじい働きをして、
「お父さんは、お鼻に一ばん汗をおかきになるようね。いつも、せわしくお鼻を拭いていらっしゃる」
 父は苦笑して、
「それじゃ、お前はどこだ。内股(うちまた)かね?」
「お上品なお父さんですこと」
「いや、何もお前、医学的な話じゃないか。上品も下品も無い」
「私はね」
 と母は少しまじめな顔になり、
「この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷、……」
 涙の谷。

夏の到来が近い或る朝
ふと見つけた風景を思い出す。
私はそれを[黒キャミ」と名付けた…
スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
プロフィール

ゆいつむに

Author:ゆいつむに
 …漢字では「唯一無二」…これを横文字では ” yuiits " と略す
 …浪華は大和川のほとりに棲息…ブログで書く2つのテーマ 以外に6つの顔を持ってる…。

最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
フリーエリア
おきてがみ







ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。