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聖子の口ぐせ…⑥ 『 雨か蛇か 』

新・私的生活


離婚後、ぐうぜん大阪の街で再会した
乃里子と剛
外は杮然と降る雨、車中での会話…
別れの時が近い


「じゃ、ね、バイ」
といったら、
「いや、バイとかさよならはやめろよ」
「何ての」
「これからは、『雨か蛇か』というのを挨拶にしよう。
ただし鼻つまんでいう」
これからって、もう会えないかもしれないし。
「カタいこというな、誰も会う、いうてえへんわい。けど、どこでまたバッタリ、
いうことになるかもしれへん。
そのとき食いつきそうな顔してることもないやろ、
そないいうて、ニコニコする気もない、というとき、
鼻つまんで『雨か蛇か』と挨拶し合う。――いうてみ」
「いやだよッ!」
だってこの語を、鼻をつまんでいうと、どう聞いても、
〈 △△△しようか 〉
に聞こえるんだもの。これ、昔、剛の教えてくれたもの。
「いわな、おろしたれへんド」
 剛はわざと面白がって凄む。剛も会社の副社長室では、
そんな大阪弁は使わないんだろうけど、
私といると果てしなく紐がほどけてくるみたい。
 私は鼻をつまんで、
「雨か蛇か」
 といったら剛は、
「いやや」
といい、大声で笑った。
まあ、ほんとうに。
 久しぶりの大笑いだった。剛は図に乗り、
「もういっぺん、いうてみい」
というから、私もふざけて、もういちど鼻をつまんで、
「雨か蛇か」
といったら、剛の奴、こんどは、
「しょう!」
「バカ!酒も飲まんと、ようそんなこというわ」
といってやると剛はまた、大笑いした。

(後略)

『苺をつぶしながら』講談社1989・11・10[第9刷]
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あっはっはっは!
そういうことですか~!
ぜんぜんノーマークでした。言葉の意味ばっかりかんがえてたので、気がつきませんでした。
おもしろかったです。探偵むにさん、ありがとうございました!

無事解決ですね!
このシーン、いいですね。
楽しげなんだけど、私が当人だったら切なくなりそう。

とりさん、よんちゃんさん、
ご来駕くださいまして恐悦至極に存じます。
お二方とも女性でいらっしゃるので万一の「セクハラ疑惑」にならないか、心配しつつ御返事致します。

>とりさん、実はこたびの変節以来、ちと考えるところがあり、ブログのテーマ変更を画策しています。
 つまり「シニアの就活」は話題としてイマイチなので、もうすこしクダケたもの例えば「聖子の棚卸」みたいなものを書こうか…などと。
 かといって[むに]にはとりさんほどのウイットも文才もナシ。
 まあ連休中には何とかメドをつけませう、と思っています。

>よんちゃんさん。
ごめんなさい、おジョウサンと入れたら何と「お譲さん」と変換しよりました。
「IME」って馬鹿ですね…(第1候補は当然「お嬢さん」でしょうが)
まあ、それを見落とした[むに]は「盥目のオトコ」失格ですけど。
 マルチな才能を身につけられているお嬢さんの健やかなご成長が楽しみです。
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ゆいつむに

Author:ゆいつむに
 …漢字では「唯一無二」…これを横文字では ” yuiits " と略す
 …浪華は大和川のほとりに棲息…ブログで書く2つのテーマ 以外に6つの顔を持ってる…。

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