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月と金星

Moon&Mars

別れの時が近い

「じゃ、ね、バイ」
といったら、
「いや、バイとかさよならはやめろよ」
「何ての」
「これからは、『雨か蛇か』というのを挨拶にしよう。
ただし鼻つまんでいう」
これからって、もう会えないかもしれないし。
「カタいこというな、誰も会う、いうてえへんわい。けど、どこでまたバッタリ、
いうことになるかもしれへん。
そのとき食いつきそうな顔してることもないやろ、
そないいうて、ニコニコする気もない、というとき、
鼻つまんで『雨か蛇か』と挨拶し合う。――いうてみ」
「いやだよッ!」
だってこの語を、鼻をつまんでいうと、どう聞いても、
〈 △△△しようか 〉
に聞こえるんだもの。これ、昔、剛の教えてくれたもの。
「いわな、おろしたれへんド」
 剛はわざと面白がって凄む。剛も会社の副社長室では、
そんな大阪弁は使わないんだろうけど、
私といると果てしなく紐がほどけてくるみたい。
 私は鼻をつまんで、
「雨か蛇か」
 といったら剛は、
「いやや」
といい、大声で笑った。
まあ、ほんとうに。
 久しぶりの大笑いだった。剛は図に乗り、
「もういっぺん、いうてみい」
というから、私もふざけて、もういちど鼻をつまんで、
「雨か蛇か」
といったら、剛の奴、こんどは、
「しょう!」
「バカ!酒も飲まんと、ようそんなこというわ」
といってやると剛はまた、大笑いした。

(後略)
      『苺をつぶしながら』講談社1989・11・10[第9刷
moon

 月の真下にあるのが明の明星だ。
夏至がまじかくなると
こういう夜明けが見える

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 …漢字では「唯一無二」…これを横文字では ” yuiits " と略す
 …浪華は大和川のほとりに棲息…ブログで書く2つのテーマ 以外に6つの顔を持ってる…。

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