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おこしえて突兀…

R2本船
苦沙弥先生いよいよ手製の名文を読み始める。
「大和魂(やまとだましい)! と叫んで
日本人が肺病やみのような咳(せき)をした」
起し得て突兀(とっこつ)ですね」と寒月君がほめる。
「大和魂! と新聞屋が云う。
大和魂! と掏摸(すり)が云う。
大和魂が一躍して海を渡った。
英国で大和魂の演説をする。
独逸(ドイツ)で大和魂の芝居をする」
「なるほどこりゃ天然居士(てんねんこじ)以上の作だ」と
今度は迷亭先生がそり返って見せる。
「東郷大将が大和魂を有(も)っている。
肴屋(さかなや)の銀さんも大和魂を有っている。
詐偽師(さぎし)、山師(やまし)、人殺しも大和魂を有っている」
「先生そこへ寒月も有っているとつけて下さい」
「大和魂はどんなものかと聞いたら、大和魂さと答えて行き過ぎた。
五六間行ってからエヘンと云う声が聞こえた」
「その一句は大出来だ。君はなかなか文才があるね。それから次の句は」
「三角なものが大和魂か、四角なものが大和魂か。大和魂は名前の示すごとく魂である。
魂であるから常にふらふらしている」
「先生だいぶ面白うございますが、ちと大和魂が多過ぎはしませんか」と
東風君が注意する。「賛成」と云ったのは無論迷亭である。
「誰も口にせぬ者はないが、誰も見たものはない。
誰も聞いた事はあるが、誰も遇(あ)った者がない。
大和魂はそれ天狗(てんぐ)の類(たぐい)か」
 主人は一結杳然(いっけつようぜん)と云うつもりで読み終ったが、
さすがの名文もあまり短か過ぎるのと、主意がどこにあるのか分りかねるので、
三人はまだあとがある事と思って待っている。
いくら待っていても、うんとも、すんとも、云わないので、
最後に寒月が「それぎりですか」と聞くと主人は軽(かろ)く「うん」と答えた。

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 …漢字では「唯一無二」…これを横文字では ” yuiits " と略す
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