チコと鳩

マンション猫は一日中すまいの中に閉じ込められている。それを可哀そうと思って、いつの頃からか近くの公園へ「社会見学」に連れて行くようになった。…しかし猫は何かに驚いてパニクルと思わぬ行動に出るので一抹の用心もしなければならない。かつてマンションのエントランスで先代が犬に驚き、わたしの腕を血だらけにして暴れて逃げた苦い経験がある。
公園に連れ出すとベンチに腰かけて、ハトとスズメにパン屑を投げる。それぞれ30~40羽ほどが集まってくる。パン屑を一つまみ、ちぎっては空に投げる。スズメは私の腕の動きに注目していて、パンが落ちてくるタイミングにあわせ、空中でうまくキャッチして素早く逃げる。また地面に落ちたのを素早くスクイーズするのも大抵スズメである。鳩は目の前の地面に落ちたのを見て初めて気づいたようにくちばしにくわえる。動きはズズメに比べ、かなりおうようで緩慢といってもよいくらいだ。
動物記で鳩は目が良いように書いてあるが、動態視力ではスズメには敵わないようだ。パンクズの殆ど半分はスズメがいただいてしまうので、人間とはちがってハトは図体の大きいくせに割り勘負けするタイプのようである。
スポンサーサイト